深夜の病棟で
コツコツと、見回りの看護婦の歩く足音しか聞こえない夜中の病棟で。

蘭は、一つの部屋の前で大きなため息をついた。

(ちょっと・・・待ってよぅ・・・)

ドキドキドキ・・・

早鐘を打つ心臓を、どうも持て余す。

本当は夜勤では無かった蘭だったが、工藤の言葉を思い出し、ついつい夜の見回りを引き受けてしまった。

「マジで!ラッキ!!」

当番だった園子は小躍りする。

「12時になったら変わるからさ、病室見回ったら帰りなよ!」

するどい園子が何か言ってくるのではないかと不安だったが、海外協力隊に出向いている恋人の京極先生が一旦帰国するというので、それどころでは無いようだ。

だから・・・。

最後の部屋。

ここを回ったら、お仕事は終了。

寝てるかもしれないし・・・

そう思い、蘭は先ほど思いを交換し合ったばかりの新一の部屋をそっと覗いた。

懐中電灯でベッドを照らすと、そこには誰もいない。